第四章 項羽と劉邦

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「ありがとうございました」 張良は丁寧に魏粛に頭を下げた。 「この曹無傷は項羽と内通し、劉将軍に二心有りという讒言状を送ったのです」 魏粛は目を見開いた。 「それでは…」 「ええ。この曹無傷を斬首するために我々は探しておったのです」 魏粛はその瞬間から手が震え始めた。 曹無傷を殺す…。 殺すために探していたのか…。 自分が曹無傷を劉邦の元へ運んだばかりに、曹無傷は斬首されてしまうのだ…。 魏粛は後味の悪さを感じた…。 「あなたは確か以前に…」 張良は魏粛の顔を覗き込む様に見た。 「はい。とう城にてお会いいたしました。江南の薬商、祭承の使用人で魏粛と申します」 魏粛は頭を下げた。 「何…。祭承殿の使用人。もしや…」 張良は魏粛の腕を掴んだ。
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