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「魏粛殿…。もしやそなたは李門殿と共に祭承殿から…」
魏粛の耳元に口を近づけ、小声で聞いた。
「李門をご存知なのですか」
「ええ。江南で一度、お会いしました故」
張良は、頭を下げていた。
「ではあの薬の話も…」
「はい。伺いました」
魏粛は張良と話しながら、横眼で曹無傷を見ていた。
水を掛けられて意識を戻され、縄に繋がれ引き摺られて行った。
この曹無傷…明日には、斬首されるのであろう…。
自分の行動が人の運命を変えた。
たとえその曹無傷が罪を背負っていたとしても。
「いかがですか…」
張良の声が再び耳に入ってきた。
「ええ…」
魏粛は張良にいい加減な返事をした。
「それでは私の幕舎へおいで下さい」
張良は魏粛を自分の幕舎へ招いた。
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