第四章 項羽と劉邦

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「しかし、あの萬能丹ですが…」 「はい」 魏粛は張良の方を見た。 「宦官の趙高は始皇帝に本当に飲ませたのでしょうか…」 「私には真偽の程はわかりませんが…恐らくは…。それはそうと、李門が始皇帝に献上した萬能丹はこの咸陽にあるのでしょうか…」 魏粛は懐にある自分の持っている萬能丹の袋を無意識に確認した。 「ご心配なく。それに関しては私が保管しております」 張良はそう言って微笑んだ。 「なるほど、その残りの数を数えると、趙高が使ったかどうかわかるのですね」 「そうですね。無闇に使用出来る薬ではありませんので、それで使われたかどうかはわかります。誰に使ったかはまでは、わかりませんが…」 魏粛は表情を曇らせたまま言う。 「そうですね。しかし趙高の性格からいけば、まず始皇帝に飲ませて、薬の効果を確かめる。そのくらいの事はするでしょうね」 「なるほど…。やはり趙高とはそういう男だったのですね…」 「秦帝国を滅亡するまで堕落させたのは、ある意味、趙高かもしれません」 張良はそう言うと目を伏せた。
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