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「もちろん劉将軍のお心遣いは良くわかっております。しかし私は同族の曹無傷が犯した罪の重大さを理解した上で申し上げております。私が同族であるという事は除外してお考え下さい」
曹参は頭を下げた。
「曹参…」
曹参は劉邦が沛にいた頃から蕭何の部下として劉邦を見守っていた。
それだけに劉邦も曹参の同族である曹無傷への処罰を、曹無傷本人だけで収め、一族にはその罪を課さないと決めたのだった。
「お願いします…」
曹参は劉邦の前に片膝をついて懇願した。
蕭何は何も言わず、ただ黙って劉邦に嘆願する曹参を見ていた。
劉邦は組んだ腕を解き、
「立て、曹参」
と、少し大きな声で言う。
「はい」
曹参はゆっくりと立ち上がる。
劉邦はその曹参の前で大きく息をついた。
「沙汰を申しつける」
劉邦はしっかりと曹参の目を見た。
「曹参。正式に、お前に曹無傷の処刑を申しつける」
劉邦はそう言って、再び覇水を見た。
「劉将軍…」
蕭何は思わず劉邦に声をかけた。
「それはあまりに…」
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