第四章 項羽と劉邦

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「曹参…。頼む。俺と一緒に生きてくれ…。そして俺が創る太平の世を一緒に見届けてくれ…」 曹参に背中越しにそう言った。 「劉将軍…」 その言葉に、曹参は崩れる様に膝をついた。 「ありがとうございます。この曹参、命に代えても劉将軍をお守りします…」 曹参はそう言うと顔を伏せた。 魏粛はその光景を黙って見ていた。 劉邦とその家臣は、強い絆で繋がっている。 それを確信した。 「張良」 劉邦は振り返り、張良を呼んだ。 「はい」 張良はゆっくりと頭を下げた。 「魏粛と酒を飲む。支度をさせろ。お前も同席するのだ」 そう言うと劉邦は再び歩き出した。 「曹参。お前も一緒に飲もう」 曹参の前で立ち止まり、劉邦は微笑んだ。 劉邦はそのまま振り返り幕舎へ歩き出した。
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