第一章 紅雀と青雀

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「良い少年なんだがの…」 「そうか…。もう命が尽きるか…。不憫じゃの」 命が尽きる…。 誰の事だ。 何だ、人が寝ている横で不吉な事を。 六承の耳に再び音が戻ってきた。 それは遠く小さな声だった。 「何とかしてやれんモンかの…」 「それは無理じゃろう」 自分の事を話していると六承は確信した。 六承は思い切って目を開けてみる。 小さな老人が二人、眠っている六承の顔を覗き込んでいた。 「あら、起きたぞ」 「おお、起きたな」 二人の老人たちは同じ様に右手に杖を持ち、一人は赤い羽織、そしてもう一人は青い羽織を着ていた。 「何ですか。人が寝ている傍で…」 そう言って六承は身体を起こした。 すると老人たちは飛ぶ様にして後ずさった。
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