第一章 紅雀と青雀

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「そうじゃの…。見るところお前はこの辺りが悪い様だ」 「そうじゃの、その辺りが悪かろう…」 赤い羽織を着た老人は六承の腹の辺りを杖で指した。 その後に続いて青い羽織を着た老人も同じ様にした。 「そして、もってあと二週間と言ったところじゃろ」 「そうじゃな、二週間じゃな」 「二週間…。私はそんなに悪いのですか」 六承は自分の腹を押さえた。 「ああ、悪いの」 「うん。悪い」 「だがの、それを飲めば治る」 「そうじゃ、治る」 六承は手にした薬の入った革袋をじっと見つめた。 「これを飲めば治る。そして生きられる…」 「その袋には百八粒の萬能丹が入っておる。それを全部お前にやる」 「くれてやるぞ」 二人の老人は六承の前に胡坐をかいた。 「あーそうじゃ、萬能丹を飲む前に一つ話をしておかんといかんな」 「そうじゃな」 「なんですか…」 六承は座り直し、老人の前に前のめりに這い出した。 「知りたいか」 「知りたいか」 二人の老人は少し神妙な顔になった。 「教えて下さい」 六承も静かに答えた。
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