第二章 李門と魏粛

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宦官の趙高は巡行の途中、その土地の不老不死と言われている薬や食べ物、飲み物を探し出し、始皇帝へ献上した。 そのために始皇帝は死期を早めたのかもしれない。 笑い声が治まると同時に、始皇帝の政はその器に入る液体を一気に飲んだ。 そして顔を歪めて器を椅子の横にあった卓の上に置いた。 「いかがでございますか」 趙高は始皇帝を覗き込み尋ねる。 「酒の様な味じゃ…。この前の苦い草よりはマシじゃのう」 そう言うとニヤリと笑った。 「おう。これで後百年は生きれそうじゃわい」 始皇帝の笑い声がまた響く。 その横で趙高は顔を袂で隠し笑っていた。 「趙高。お主も飲め。朕だけが生きておっても秦帝国は成り立たん。お前も一緒に生きてもらわんとな…」 「ありがとうございます…頂きます」 趙高にも侍女が器を渡した。 それに並々と注がれたタダの酒を趙高は一気に飲み干した。 「これで私も百年生きる事が出来そうです」 そう言うと器を持ち、始皇帝を拝した。 「これで秦帝国は不滅じゃ…」 始皇帝の声がまた響く。 それに続いて控えている者たちが笑った。
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