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「入りなさい」
中から祭承の声がした。
李門と魏粛は顔を見合わせて戸を開けた。
祭承の部屋には香の煙と香りが漂っていた。
「魏粛と一緒に参りました」
李門はそう言うと手を隠し、祭承に礼をした。
「待っていたよ。すまんな、わざわざ…」
祭承は立ち上がり、二人を自分の座る卓の向かい側へ促した。
李門と魏粛はゆっくりと祭承の向かいに立った。
「まあ、座ってくれ」
そう言って祭承が座ると、それを見て二人も座る。
祭承の部屋からは綺麗な満月が見えていた。
祭承は二人の顔を見ると、身体を外に向け、月を見た。
「綺麗な月だな…」
李門と魏粛は祭承と同じ様に月を見た。
月明かりと、部屋に煙る香が異様な空気を醸し出していた。
「魏粛。お前は幾つになった…」
祭承は月を見たまま、呟く様に言った。
「はい。今年二十二歳になります」
魏粛も月を見たまま答えた。
「李門。お前は」
「はい。私は二十六歳になります」
李門も月に見とれていた。
「そうか」
祭承は月から目を下ろして、李門と魏粛に言う。
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