第二章 李門と魏粛

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二人はじっとその箱を見つめていた。 「その仙人丹、「萬能丹」だ。百七粒ある」 祭承はそう言うと箱を開けた。 中から革の袋が出てきた。 「萬能丹…ですか」 「そうだ。萬能丹だ」 祭承は袋を開けて手を入れ、手の平に数粒の萬能丹を取り出し、二人に見せた。 「どんな病も治してしまう万能薬って事で萬能丹なのですかね…」 魏粛は祭承の顔を見た。 「仙人様も安直な名前を…」 そして笑った。 李門も祭承も笑っていた。 「それがそうでもないのだ」 祭承はその笑いを遮る様に言う。 「しかし、どんな病でも治してしまうのであれば、それは万能薬ですよ…」 「私もそう思いますが…」 祭承は袋に萬能丹を戻し、箱に入れた。
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