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「ん?なんだよ、こんな時間に」
がさっと音がし、木の葉がぱらぱらと何枚か落ちてくる。それを手に取り、目を細くしてそこにいる彼女を見ると、どうやらぶら下がっているようだ。
声からして、自分より幼い。そして、多分女性。こんな時間帯に木にぶら下がって何をしているのかとますます不思議に思った。
「こんな場所で何をしているんですか?」
声をかけると、「あー」と声を上げ考えているようで本当に何をしているのだと思う。こんな時間帯に、木にぶら下がっている。と言う事は。
(蝙蝠の方でしょうか……)
だったら問題ないのかと思うが、それでも自分より幼い少女を残していくのは罪悪感が湧く。少しだけ考えて、少女が扇明の質問に答えるよりも先に。
「お暇でしたら、私とデートして頂けませんか?この時間帯です。一人で帰るのが怖くて……どうでしょうか?」
提案すると、がさがさと音がし少女が木から下りてきたのが分かった。衝撃が伝わってこなかった所からすると、飛べるのだろう。なんとなく、見えた。
「いいよ。おねーさんを僕が送ってってあげる」
(……まあ、いいか)
目の前にいる少女の、微かに見えた金色の瞳が笑っていたので否定せずそのままでいいかと苦笑をもらした。
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