ツいてる日

2/4
前へ
/25ページ
次へ
今日は、いつもより遅くに起きてしまったなと欠伸を噛み殺しながら、頭をポリポリと指でかく。 昨日、半日以上外に出てしまったせいで気分が悪くなり、家に帰り、水の中で休憩していたら、いつの間にか寝ていて、いつの間にかこの時間に。 失敗したな…と自分を情けなく思う。寝ていたらこの時間と言うのは、さすがに情けないと思う。 太陽が頂点に到達しそうな時間帯。年に何回かはこの時間帯に起きてしまうのだが、この時間たちはあまり得意ではない。 一番の理由は、太陽の光。あまり浴びすぎると、またすぐ気持ち悪くなる。そうなると、また負の連鎖が起きる。 何か面白い物が見つからなければ、このまま家に帰って読書でもするか、それとも違う事をするか。 面白い物なんて、いつも見つかるわけではない。いつも見つかったら、面白くなくなる。 たまに、見つかるから面白いのだ。 扇明は、運がいい方とは言えない。年に何回か、今日はツいていると言う日以外はたいてい、ツいていない。 今日がツいている日なのか、それともツいていない日なのか、それは面白い物が見つかるかによるわけだが。 (……どうやら、今日はツいている日のようです) 道端で、何かをしている男を見つけた。少し遠くから観察して、どうやら男は、曲芸師なのだと分かった。 近くで見てみたいと思い、近付くと、相手も扇明の事に、気が付いたようで、こちらに視線を向けてきた。 「そこのアンタ。ちょっと見ていかないかい?」 声をかけようと思っていた時に、先に声をかけられ、少し驚いたが、少し驚いただけ。問題ない。 「えぇ、是非とも」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加