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今日は、いつもより遅くに起きてしまったなと欠伸を噛み殺しながら、頭をポリポリと指でかく。
昨日、半日以上外に出てしまったせいで気分が悪くなり、家に帰り、水の中で休憩していたら、いつの間にか寝ていて、いつの間にかこの時間に。
失敗したな…と自分を情けなく思う。寝ていたらこの時間と言うのは、さすがに情けないと思う。
太陽が頂点に到達しそうな時間帯。年に何回かはこの時間帯に起きてしまうのだが、この時間たちはあまり得意ではない。
一番の理由は、太陽の光。あまり浴びすぎると、またすぐ気持ち悪くなる。そうなると、また負の連鎖が起きる。
何か面白い物が見つからなければ、このまま家に帰って読書でもするか、それとも違う事をするか。
面白い物なんて、いつも見つかるわけではない。いつも見つかったら、面白くなくなる。
たまに、見つかるから面白いのだ。
扇明は、運がいい方とは言えない。年に何回か、今日はツいていると言う日以外はたいてい、ツいていない。
今日がツいている日なのか、それともツいていない日なのか、それは面白い物が見つかるかによるわけだが。
(……どうやら、今日はツいている日のようです)
道端で、何かをしている男を見つけた。少し遠くから観察して、どうやら男は、曲芸師なのだと分かった。
近くで見てみたいと思い、近付くと、相手も扇明の事に、気が付いたようで、こちらに視線を向けてきた。
「そこのアンタ。ちょっと見ていかないかい?」
声をかけようと思っていた時に、先に声をかけられ、少し驚いたが、少し驚いただけ。問題ない。
「えぇ、是非とも」
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