第1話

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------ ------------ 小さな私は、公園の土管の中で1人うずくまり泣いていた。 お父さんとお母さんが離婚した日だ… お母さんが言う… 「瑞穂…お父さんとお母さんはもう一緒には暮らせないの。お父さん…もうお母さんの事、好きじゃなくなったんだって…。」 お母さんは、俯いて泣いていた… 「どうして?瑞穂は、お父さんもお母さんも大好きだよ。どうして? ねぇ、どうして好きじゃなくなるの?」 何を聞いても…何を話しかけてもお母さんは何も言わず、ただ泣いていた… 子どもの頃から、何度も同じ夢を見る… 小さな私の胸に残る傷…。 ------ ------------ ハッと目が覚めた…。 またか…なかなか癒えないものだな… ぼんやり天井を見つめた。 ビッショリ汗をかいていた。 やっぱり風邪なのか、体が重い… 右手に携帯を握ったままだった… …左手…重い… え? え? ゆっくり左を向くと、そこには私の手を握りベッドの横に座り、上半身を預ける形で寝ている義兄がいた。 「な…なんで?」 体を起こし、左手を振りほどこうとブンブン手を振る… …ほどけない左手… 「何でここにいるの? 何で私の家知ってるの? …ってかどうやって入ったのよ。」 握られた左手が、更に強く握られた。 「万樹ちゃんに、教えてもらった。大家さんに、妹が病気で倒れてるって言ったら、身分証明書見せろって言われて…んで開けてくれた…。何回チャイム鳴らしても出ないから。」 目を閉じたまま話す義兄。 私は何も言えずにいた… …本当に心配してくれてたんだ。 そう思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 「…ごめんなさい。」 ポツリと呟いた…。 …でも返事がなくて… 「昨日は…ブッて…ごめんなさい。」 また…呟いた… …それでも返事が無くて… 凄く怒ってる…よね? 「…あと…メガネ…」 そう言いかけた時、義兄が顔を上げ、一気に私を抱きしめた… フワリと優しい空の様な香り… 私の耳に、義兄の頬がピッタリとひっついていた… …ひんやりとした頬…
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