第3話

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お義父さんの誕生日パーティーの為に用意した、お母さんの手作りケーキや料理の凄さに、大木さんは目をまん丸にしていた。 「瑞穂さんも、お料理好きなんですか?」 「いえ…私は…。」 「今度、僕の為に作って欲しいなぁ~。」 私の話しなんてスルーして、自分の要求ばかり… 大木さんって…本当に良い人なの? …良い人なのかもしれない…でも私はきっと、好きにはなれない…そう思った。 窓の外を見ると、すっかり暗くなった空に浮かぶ小さな星達がみえた。 フーッと息をついて…今日の疲れがドッと押し寄せる。 「大木、今日は朝まで飲むぞ。」 だなんて上機嫌のお義父さんをよそに、篤さんが席を立った。 「俺は、帰るよ。」 「じゃぁ、私も帰るね。」 私も、このタイミングを逃すものかと席を立った。 話しに夢中な2人をよそに玄関先でお母さんが私に 「瑞穂、良い話だから…考えておきなさいね。」 そう言うお母さんに苦笑いをして外へ出た。 「瑞穂、送るよ。」 篤さんが、クルマを指差し… 「まだ、電車があるから大丈夫です。」 緊張して乗れない… 「駅まで、夜道は危ないでしょ。俺お酒飲んでないし。」 篤さんの顔を見て…そう言えば、ずっとお茶を飲んでいたな…っと思っていたら、グッと腕を引き寄せられた。 「乗って。」 助手席のドアを開けどうぞと誘導された。 …なんか捕まった感…。 車という、密室で2人きり…緊張感が急に高まる。 彼女がいるんだから…自分で自分の気持ちにブレーキをかける。 ゆっくりと走り出した車は、ピアノを優しく弾語る曲が流れていた。 …初めて…篤さんはこんな曲が好きなんだ…篤さんの事は何も知らないから、嬉しくて自然と笑みがこぼれた。 「何を嬉しそうにしてるの?」 真っ直ぐ前を向く篤さんの優しい声…。 見られてた恥ずかしさで顔が火照ってくる。 信号で止まった車… 篤さんの大きな手が私の頬に触れる。 ビクッとした私に篤さんは、 「顔赤いよ。飲み過ぎた?」 「そ…そうかも…。」 って、ごまかした。
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