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~大学生ですが?~
「はぁ~、瑞穂。あんたって…酷い…。」
大学1年になって、周りが焦り出していた。
私があまりにも男に興味がなさ過ぎだと…。
まったく…大きなお世話だよ。
「そうゆう、万樹は男あさり過ぎ。」
「ひどぉ~い。もつれた赤い糸を解いていると言ってくれない?」
こんなやり取りは、いつもの事で2人して顔を見合わせ、ププッ と笑ってしまう。
私、浅川 瑞穂と田中 万樹は幼馴染みで親友で…性格は正反対。
大学1年になっても姉妹のように仲が良い。
恋を求める者と、求めない者…。
私は愛は求めない…だって、愛なんて見えないし…
根拠もない…確かな物もない…
万樹の話しそっちのけの私…ぼんやりと空を見る…
ちっちゃい空ぁ…
「…瑞穂…みぃ~ずぅ~ほっ。」
「い~だぁ~いぃ~。」
耳痛い…
「瑞穂が悪いっ。」
万樹がギロリと私を睨む。
私も万樹を睨む。
見つめて、見つめて…万樹がお腹を抱えて笑っていた。
「瑞穂…。可愛い顔だし、肌もピッチピチ、頭の先から足の爪の先まで完璧なのに…なんで恋しないの?艶がない。もったいない。」
特にグサリともこない私。
「キレイで居たいのは自分のため。私は誰かの為にキレイになりたいとは思わないの。」
万樹にめいっぱいイ~ッと、ついでにあっかんべ~
「瑞穂…子どもじゃないんだから。…分かった…もう言わない。だから、大学生活楽しもっ。」
「私…大学生活楽しんでますが?男が居なきゃダメなわけ?」
「はいはい…楽しんでるよね。…じゃぁ、合コンいこっ。」
「だからぁ…。」
はぁ~万樹、聞いてたのかな…?
「万樹…ワザとだね…。」
「だってぇ~瑞穂が居ると盛り上がるんだもんっ。」
甘ったるくすがるように見つめるから…
「もうっ、しょうがないなっ。」
「よっ、オトコ前。」
はぁ~、私も万樹みたいだったら幸せだったかもしれない…
そう…私は万樹に憧れている。
私は万樹になりたい…
自由に喜怒哀楽を表に出せる…
好きなものを好きと言える…
時には…嫌いなものも好きと言えるズルさ…
私にないもの…それは人としての感情…かな…
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