第4話

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鏡ごしに意地悪に笑う結城君に、 「思ってたよ、心の中で。」 そう言うて、結城君はニッコリ笑って、ありがとうと言った。 なんとなく、心がグラリと揺れる…そんな気がした。 手際よくなされるヘアメイクはあっと言う間に終わる。 「すごい…。」 「その言葉2回目。瑞穂がモデルだと、俺の想像力は今以上に発揮出来る気がするよ。」 鏡に写る私は、私じゃないみたい。 短い髪は、ふんわりと柔らかくカールされ、ピンクをベースにあしらわれた目元。 「瑞穂の肌、赤ちゃんみたいに瑞々しくてきめ細やかだから、ファンデ塗るのがもったいないくらい。なかなか良いだろ。」 結城君の瞳はキラキラ輝いていた。 「さぁ、次はドレス。時間が迫ってるから、急ぐよ。」 そう言うと数ある中から結城君が選び出したドレスを手渡された。 「試着室の中に下着があるから、着けてもらって。なんなら俺が着けてやっても良いけどね。」 なんて冗談を言う結城君に、ベーっと舌を出した。 試着室で、勿論女性スタッフにコルセットとドレスを着せてもらった。 な…なにこの短さ… 斬新過ぎ…ウエディングドレスって…これ丈が短い… ゆっくり試着室の扉を開けると、机に腰掛けた結城君と目が合った。 どれくらい見つめ合ったかわからないけど、結城君が目をまん丸くしているのは分かった。 「…ごめんこのドレス、私じゃ着こなせてないよね?」 そう言うと結城君がゆっくりと私に近づき、素肌の両肩に手を置いた。 近くなった距離にドキドキして、逸らした目をあげる事が出来ない。 「瑞穂…キレイだよ。俺の想像以上。」 そう言う結城君の瞳と私の瞳が絡み合う。 ドキドキがドクドクに変わる鼓動…。 「あーそんな可愛く見つめられたらキスしたくなる。」 そう言うと結城君は自分の髪をくしゃっとした。 耳が少し赤い?そんな結城君が可愛く思えた。 そして仕切り直すようにパンッと手を叩き、 「仕上げだ。」 そう言 って、ドレスの丈よりもうんと長いベールをセットしてくれた。
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