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鏡ごしに意地悪に笑う結城君に、
「思ってたよ、心の中で。」
そう言うて、結城君はニッコリ笑って、ありがとうと言った。
なんとなく、心がグラリと揺れる…そんな気がした。
手際よくなされるヘアメイクはあっと言う間に終わる。
「すごい…。」
「その言葉2回目。瑞穂がモデルだと、俺の想像力は今以上に発揮出来る気がするよ。」
鏡に写る私は、私じゃないみたい。
短い髪は、ふんわりと柔らかくカールされ、ピンクをベースにあしらわれた目元。
「瑞穂の肌、赤ちゃんみたいに瑞々しくてきめ細やかだから、ファンデ塗るのがもったいないくらい。なかなか良いだろ。」
結城君の瞳はキラキラ輝いていた。
「さぁ、次はドレス。時間が迫ってるから、急ぐよ。」
そう言うと数ある中から結城君が選び出したドレスを手渡された。
「試着室の中に下着があるから、着けてもらって。なんなら俺が着けてやっても良いけどね。」
なんて冗談を言う結城君に、ベーっと舌を出した。
試着室で、勿論女性スタッフにコルセットとドレスを着せてもらった。
な…なにこの短さ…
斬新過ぎ…ウエディングドレスって…これ丈が短い…
ゆっくり試着室の扉を開けると、机に腰掛けた結城君と目が合った。
どれくらい見つめ合ったかわからないけど、結城君が目をまん丸くしているのは分かった。
「…ごめんこのドレス、私じゃ着こなせてないよね?」
そう言うと結城君がゆっくりと私に近づき、素肌の両肩に手を置いた。
近くなった距離にドキドキして、逸らした目をあげる事が出来ない。
「瑞穂…キレイだよ。俺の想像以上。」
そう言う結城君の瞳と私の瞳が絡み合う。
ドキドキがドクドクに変わる鼓動…。
「あーそんな可愛く見つめられたらキスしたくなる。」
そう言うと結城君は自分の髪をくしゃっとした。
耳が少し赤い?そんな結城君が可愛く思えた。
そして仕切り直すようにパンッと手を叩き、
「仕上げだ。」
そう言 って、ドレスの丈よりもうんと長いベールをセットしてくれた。
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