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「え…着物が着れるなんて嬉しいです。」
そう言うと凛さんは優しく微笑んだ。
控え室に戻ると、結城君がいた。
優しく微笑む姿にキュンとなる。
椅子に座らされ、結城君がベールを外し、ネックレスやピアスを一つずつ丁寧に外す。
お化粧を丁寧に落としてもらい、スッピンになった。
靴も脱がせてもらう…結城君に触れられた一つ一つが熱くなる。
きっと顔も赤いよね…
さぁ、って手を差し出されその手を握り立ち上がる。
靴を脱ぐと、結城君がクスッと笑った。
「瑞穂って、こんなに小さい。」
そう言ってふんわりと抱きしめられた私は、結城君の胸にすっぽりはまっていた。
「瑞穂、今日はありがとう。俺ね、やっぱりこの仕事好きだわ。瑞穂のおかげ。」
そう言うとさらに結城君の腕は更に力が入って、私の首元に顔を埋めた。
「こちらこそありがとう。」
ドキドキと緊張の中、頑張れたのは結城君がいたから…そう、思いを込めて絞り出した声は結城君に届いたかな。
結城君の唇が私の唇に優しく触れる。
何度も角度を変えて…優しく。
結城君のシャツを握ると、また強く抱きしめられる。
繰り返されるキスに息が出来なくて、一瞬離れた時に大きく息を吸い込んだ。
結城君がクスッと笑い
「ごめん、瑞穂があまりに可愛いから離せなくなった。」
そう言われて身体中が火照る。
交わる視線…どちらからでも無く自然と重なる唇。
結城君の舌が私の舌を絡めとり…初めての大人のキス。
深く優しいキス…。
チュッと言って離れた唇が恋しいと思った。
「これ以上したら止めれなくなる。」
そう言われて、真っ赤な顔を見合わせて笑い合った。
「着替えておいて。家まで送るよ。なんなら脱がそうか?」
そう意地悪に笑う彼に、イーッてして試着室に入った。
扉を閉めた途端に、足の力が抜けて床にへなへなっと座り込んだ。
私…結城君のキス…嫌じゃなかった…抱きしめられて、嬉しかった。
このドキドキ…この気持ち…
どうしよう…私…結城君に惹かれてる…
両手で顔を覆い、溢れた涙の意味を探す…
…これはきっと “安心” と言う彼の存在が、私の心を満たしたのだと思った。
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