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side 篤
彼女が17歳の時だった。
瑞穂が俺の義妹となった。
同時に義母が出来た。
義母は親父に夢中のようだ。
それに比べて瑞穂は、俺と顔を合わせる事もなく、ただ俯いていた。
あまりに綺麗な長い髪。愛らしい大きな瞳。長いまつ毛。制服からのぞく、白くて細い腕は、強く握り緊張感がこちらにも伝わってくる。
義母に挨拶をするように促されると、小さな声で自己紹介をした。
俺より5歳年下の彼女は、人見知りをしている…そんな印象だった。
俺は大学院に進み家を出ていたから、瑞穂に会うのは年に数回程度だった。
それでも瑞穂が俺と目を合わす事も無く、会話も挨拶程度…親父が再婚しても俺の周りはさほど変わらなかった。
きっと彼女は俺の顔なんて知らないんだろうな…そう思っていた。
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