第4話

10/12
前へ
/47ページ
次へ
side 篤 彼女が17歳の時だった。 瑞穂が俺の義妹となった。 同時に義母が出来た。 義母は親父に夢中のようだ。 それに比べて瑞穂は、俺と顔を合わせる事もなく、ただ俯いていた。 あまりに綺麗な長い髪。愛らしい大きな瞳。長いまつ毛。制服からのぞく、白くて細い腕は、強く握り緊張感がこちらにも伝わってくる。 義母に挨拶をするように促されると、小さな声で自己紹介をした。 俺より5歳年下の彼女は、人見知りをしている…そんな印象だった。 俺は大学院に進み家を出ていたから、瑞穂に会うのは年に数回程度だった。 それでも瑞穂が俺と目を合わす事も無く、会話も挨拶程度…親父が再婚しても俺の周りはさほど変わらなかった。 きっと彼女は俺の顔なんて知らないんだろうな…そう思っていた。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加