第1話

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連れてこられたのは、ブランドショップが立ち並ぶ大人の街。その一角にあるセレブ御用達の有名メガネショップ。 貧乏大学生の私が、これるわけない。 「あの…。」 義兄を見上げると、冷ややかな瞳で私を見下ろした…。 「俺のメガネ、ここのなんだ。」 …一切値札のついていないメガネ達… どう見ても高価でしょ…。 「これにしよっかな。瑞穂どう?」 おしゃれで知的な感じのメガネをかけ、ニッコリ笑って私を見る義兄。 …何でも良いんじゃない? な~んて、口が裂けても言えない。 「はい…お似合いです。」 何となく作り笑いをした。 すると、ムスッとした義兄…。 「やっぱりこれにするよ。」 「こちらはイタリア製で、職人が丹精込めて創り上げた一点物です。」 マジッ…。それ買うの?いくらよ?私お金ないよ…。 顔面蒼白で義兄を見ると、ニヤリと笑った。 「お会計失礼します。10万円でございます。」 ゲッ…空いた口が塞がらない…。 義兄は、私を見てまたニヤリと笑った。 お会計を済ませ、店を出た。 「あの…私そんな大金持ってないですよ。ローンでいいでしょうか?」 泣きそう…私のお小遣いが…就活でバイトも出来ない現状…。 夜の仕事でもしなきゃ… なんてバカな発想が頭を巡る…。 「夜のバイトしてもらうよ。」 耳を疑った…義兄を見ると不適な笑い。 「な…っ。」 焦る私。よっ…夜っていったら、そうゆう事よね? 私… 「無理無理無理。私経験ないしっ。」 動揺して思わず心の声が出てしまった…。 ハッとして両手で口を抑えた。 「ふ~ん。バージンなんだ。遊んでるのかと思った。」 私を下から上まで見る義兄。 …酷い…人を見た目で判断するの? 涙が零れた…。 「でも…ちが…」 そう言いかけた、義兄の頬を思いっきりぶった。 そして、 「メガネ代は必ずお返しします。」 そう行って走り去った。 呆然と私を見る義兄を置き去りにして… 涙が止まらなかった…過去の苦い経験が頭をよぎった…
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