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あれは酷く悔しい経験…
中学2年。
多感な年頃…少しの出来事にビクビクしていた。
父が居ない私は、ハッキリ言ってドがつくほどの貧乏だった…。
母は、その状況は何時も父のせいだと言っていた。
だから、私は幼いながらも男はヒドイ生き物だと思っていた。
そのせいで、男に無関心…いや毛嫌いする今の私がいる。
そして、母のように男に捨てられるくらいなら、いらない…そう思っていた。
ある日、私はクラスの男の子…忘れもしない…結城 要君にからかわれた。
「お前ん家、貧乏なんだろ?貧乏だからってな、身だしなみくらいちゃんとしろよ。髪あらってんのか?ボッサボサ。」
彼の家は、美容院を何件も経営している…いわばお金持ち。
彼の髪はいつも流行を先取り、そのイケメンで甘いマスクは、みんなから人気があった。
そんな彼は、みんなの前で私を笑いものにした…。
私はみんなの前で涙を流すのが悔しくて、屋上まで逃げた。
そこで思いっきり泣いた…
この状況から逃げたかった…
…その日から一週間私は学校を休んだ。
万樹が毎日家に来てはバカ話しをしてくれた…私を笑わせたくて…万樹の優しい心が私を救った。
そんな万樹に申し訳なくて、学校へ行くことにした。
まずはこのボサボサな髪を何とかしようと考えた。
貯金箱を見ると、少ないお小遣いを地道に貯めていたから結構貯まっている。
そのお金を握り、初めて美容院へ。
鏡に写る私…。
こりゃヒドイ…貧乏以前の問題…
私は私にも興味を持っていなかった…だから無惨な姿になっていたんだと気がついた。
カットが終わると美容師のお姉さんに
「凄く可愛い。あなた、もっとオシャレしなきゃ、もったいないよ。それに女の子なんだから、オシャレを楽しまなきゃね。」
そう言って、鏡越しにウインクをした。
お姉さんのスベスベの真っ白な肌や、クルクル巻いてUPにした髪がとても可愛いかった。
お姉さんに憧れて…あの男の子達を見返したくて、私は私の為にキレイになると決めた。
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