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「急になんだよ…」
何の用だと聞こうとしたら葵に先に尋ねられた。
「急にってか用があるから来たに決まってるでしょ?」
「あー、まぁそうだな」
葵はいつでもはっきりきっぱり喋る。誰にでもこの態度。
刹那は慣れているからなんとも思わないが、倉科は葵が少し苦手そうだ。
葵が来てからずっとだんまりを決め込んでいる。
「さっき、杉山さんに呼ばれた」
「早く話が終わるようにあたしも一緒に行ったげるから」
「いや、ついてこなくていいけど……夜…か?」
「大丈夫!そんな遅くなんない」
一体どこに連れていく気なのか。でもまぁ、この話を受けておけば葵からノートは借りられそうだ。
「分かった。なぁ、葵、現社のノート貸してくんね?」
「たのみはそれかぁ。いいよ。もぅ~刹那ってば菜穂と別れたからって引きずり過ぎ~」
軽く言って葵は刹那の肩をバンバン叩いた。
ド直球過ぎんだろ……。
なんて言うか…ため息しか出てこない。
でも……それで、ぼんやりしてたわけじゃない。
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