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「来たね。それで?…なんで工藤さんまでいるの?」
社会科準備室の扉前。
失礼しますと声をかけ、ホントについてきていた葵は外で待つ、なんてことをするわけがなく、当然のように室内に足を踏み入れた。
「刹那の保護者と思って?先生」
「……かなり突っ込むけどいいの?朝宮は」
何を言われるのかは大方予想がついている。ましてや葵は、外で待てと言ったところで、聞くような人間でもなし。
刹那はふっと小さく笑うと、ガクッと肩を落とした。
「…ついてくるって言われた時点で諦めてますから」
杉山は若干何か言いたげな表情を見せたが、こちらも諦めたように、ふうっと短く吐息した。
「じゃあさらっと行くけど……最近朝宮どうなの?」
「どうって……」
「刹那は菜穂と別れて傷心中ですよ、先生」
直球すぎる先生に口ごもっていると横からさらっと葵が口を挟んだ。
「やっぱりそっちかぁ。まあ私がそんなに突っ込むことじゃないんだろうけどさ。……あのテストはないんじゃない?」
先週終わった期末テスト。それはもうさんざんだった。まぁ、呼び出されても仕方がない。
「ちょっと~、聞いてないよ、刹那!何の こと?」
「なんでいちいちお前に言わなきゃいけねぇんだよ」
いくら幼馴染みと言えど、言いたくないことの一つや二つはあるってもんだ。
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