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ここにいたら、ダメだ。 刹那は泣いてしまいそうで顔を歪めているのを悟られないように、俯いたまま歩き出した。 17にもなって、男が泣くなんてあり得ない。たかだか女の子に振られたくらいで…! そう思えば思うほど、なんだか惨めな気持ちになって涙が溢れてしまった。 周りのざわめきも遠ざかり、視界がぼやける。 歩くのもままならなくて、刹那は立ち止まり、手の甲でごしごしと涙を拭う。 「うぅ…」 それでも一度溢れた涙が止まることはなくて、刹那は、眼を瞑ったまま走り出した。 ドンっ 不意に肩がぶつかって俯いていた刹那は思いっきりよろめいた。 「いって…っ!…す、すいませ…」 謝ろうと、ぶつかったひとを見る。 「…?!」 肩がぶつかっただけ、のはず。 それなのに。 周囲にざわめきが起こる。 「えっ??」           ぶつかったのは刹那と同じくらいの年の男だ。 お世辞にも体格がいいとは言えない刹那がよろめいただけで済んだのに、彼は胸を押さえてうずくまっていた。 当たり所が悪かったのか。 考えても混乱するばかりで答えなんか見つかるはずもなく。 とにもかくにも、泣いてる場合じゃない。 「あの……大丈夫ですか?も、もしかして俺がぶつかったせい??あぁ~!マジですいませんっ!!」 刹那は思いっきり狼狽えてどもりながら彼の肩に触れた。  
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