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「空良野さんて、なんかいっつもイライラ顔してるんですね」
黒桂のダメぶりに毎日翻弄される俺…
なのに、本人からこの言葉。
誰のせいだよ、誰の…
「すまんな。元からこう言う顔だ」
「そうなの?『絶対、笑顔は素敵だと思う』って、女性陣が言ってましたよ」
(はいはい…左様ですか)
「なら、寝酒のアルコールでも抜け切れてないのだろう。『寝言を言う暇があったら、起きてまともに仕事しろ』と言っておけ」
黒桂は目を見開いてから『キッツ~』と口を歪ませ横を見た。
『キツイ』はこちらの台詞だ。
同じことを何度も説明し、何度も何度も教えてやってるのに、この本人ときたらのらりくらりとのんきなもの。
暇を与えれば、女子社員とピーチクパーチクと煩い鶏の群れのように盛り上がり、あまつさえ俺までピーチクパーチク語り合うネタにされてたなんて…。
(あ~気分が悪い!明日は休みだ、今日はとっておきのあの酒を飲む!)
心の中で自分に誓った時だった。
「空良野さん、明日は休みですし、今晩飲みに行きません?」
「は?」
「一度、一緒に行きたいなあって…」
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