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「悪いが、俺はそのような思考を持ち合わせていない。『黒桂と一緒に…』などと言う案は、ゴマ粒ほども考えたことがない」
黒桂は目を丸くして黙っている。
「すまん…気分を害したのなら…」
「いいえ。うだうだ口先で巧い嘘を言われるより、実にはっきりしてて、わかりやすくていいですね」
「………は?」
何を勘違いしたのか、
「ビジネスマンとしてのあり方は、欧米スタイルでこうじゃないと」
また意味不明なことを言い出した。
「そう言う方面も教えてほしいんで、是非今晩はご一緒させてください。どんな店にします?」
「いや…俺は家に…」
「え!?空良野さんの家に招待してくれるんですか?あはっ…入社してから一番嬉しいかも」
『やったあ』とガッツポーズを作り、無条件に喜んでいるような笑顔を見せられ、流れ的に断るに断れなくなった。
「しかし買い物をしていないからなにもない。だから…」
「それならウチには?そうだよ、ウチでどうですか?」
「は?いや…そんな…」
「遠慮しないで下さいって。いや~、楽しみ」
(遠慮などしていない!話を聞け!)
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