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全く俺の話は聞いてもらえないまま、強引に黒桂のペースで話は進められ、結局『仕事が終わってから黒桂のうちに行く』と言う方向で話はまとめられてしまった。
「なんで俺が…」
仕事の最中、あまりに混乱した頭の俺は、隙をみて一度思考をリセットし気分を落ち着かせる為に、黒桂に指示を出すとトイレに駆け込んだ。
個室の鍵を念入りに確認し、トイレットペーパーにアルコールを滴り落ちるほど噴き付け便座を拭き、便器の中に使用したトイレットペーパーを叩き付けるように投げ入れる。
同様に再度アルコールを噴き付けたトイレットペーパーで、レバーや個室の鍵などを磨くと早々に投げ入れ、やっと水を流した。
晴れない気持ちの俺の耳に、ゴォーッと水が回るように吸い込まれる音が聞こえる。
乾いた頃を見計らい腰を下ろすと、膝に肘をつき頭を抱えた。
「最悪だ…」
俺の生活サイクルに、とんでもないイベントを投下されてしまった。
「息が詰まりそうだ…なんだってこんなことに…」
吐き続ける重い息が、ごろりごろりと足元に次々と転がり鉛のように足に装着されていくようだ。
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