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「5回!?」
黒桂は驚いてカップを落としそうになっているが、何をそんな驚いている?
「そんなに気に入った作品だったんですか?」
「戦時中の戦艦を細部に至るまで緻密に忠実に再現し、見応えはやはり主砲四十六三基九門!あの見事なまでの黒光りした美しさと凛々しさ。あの戦艦が搭載した46センチ砲は、艦載砲としては史上最大の威力を持……」
危うく馬鹿の極みと思われがちな、己の知識をひけらかす行為をやってしまいそうになり、ハッと我に返った。
「すまん、つまらん話をして」
「いえ、それって前から話題になってた映画でしたよね?そんなに良かったのかあ」
目をキラキラ輝かせ、黒桂は納得したように腕組みをする。
「俺も空良野さんと、行きたいです」
「は?」
「そんな素晴らしい映画なら、俺も観ておきたい。もしかして、気の合うお連れの方とかいるんですか?」
「いや、ひとりで行くだけだが……」
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