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「もし置いてけるものがあるなら置いてきなよ。
どうせあと半月足らずで引っ越しなんだからさ。」
「あ・・・、そうだね。」
真っ先に視線を向けたのは愁斗から貰った大きなウサギのぬいぐるみ。
明日自宅に帰るのに、さすがにこんな大きなウサギを抱えて電車に乗るのはちょっと恥ずかしい。
私は衣類の半分とウサギのぬいぐるみを己一の部屋の隅に置かせてもらい、残りの荷物をキャリーバッグの中へと片付けた。
「笑美、明日で帰っちゃうんだもんな・・・。」
タバコの火を消しながら、己一が残念そうに呟く。
彼と付き合ってから、こんなに長い間一緒に過ごした事はなかった。
誕生日の夜に思わぬアクシデントが起こってしまったけれど・・・。
10日後にはまた会えるのだから、少し寂しいけど心配する必要はない。
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