闇中

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驚いた表情を一瞬見せた彼は、目尻を下げ口角を上げ、にっこりと笑顔を作った。 『驚かせてしまったようですね。次からは説明してから行動します。すみませんでした。 さぁ、目を閉じて・・・蒸しタオルを乗せますよ』 僕の肩にやんわりと手のひらを当て、穏やかな口調で謝る彼に気まずくなって、また目を閉じる。 手のひらから伝わる温もりにいくぶんほっとした。 『肌が随分荒れてますね。髭剃りに適した時間帯があるのって知ってます? 起床後20分ですよ。1回温めて軟らかくしてから剃ると肌が痛みません。試しに明日から実践してみてください。 とても綺麗な肌をしているのでもったいないですよ』 ……綺麗な肌している。 真さんにも言われた事があった。
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