第1章

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 日常とは一体どういう物なのだろうか。  毎日同じ学校に通って同じ様な授業を受け、同じ仲間と笑い合い、時には先生に叱られたりする。これが俺の日常だ。  日常とは大抵、飽きが来る。  毎日学校に行っていれば学校が嫌になる学生は大勢いるが、例えば卒業して働き始めた人や、学生でも入院した等というアクシデントで学校に通う事が出来なくなると大抵は学校が懐かしい、また行きたいと思うだろう。  それは学校に通うという今までの日常が違う日常にシフトチェンジしたからだ。  そして違う日常が今までの日常を侵食し、日常として自分の中に住み着くとまた、違う日常に恋焦がれる―――――  終業のチャイムがなり一斉に教室内が複数個の会話の群れでざわめいた。  進級したばかりの四月だからとはいえ、高校生活も二年目の生徒が集う教室では顔見知りも多く、話す相手も大体決まっているものだ。  そんな会話で区切られた空間の中、俺も一つの会話を始めていた。 「おい真悟、今日は部活が休みでよー。またいつもの流れで帰り遊んでいかねーか?」 「空手部は今日休みか、いいよ。俺もバイト入ってないし暇だしな」  俺、笠間田真悟(かさまだしんご)の机の前に立つ筋肉質の男は加賀陸(かがりく)。二年生ながらも空手部の主将で俺とは小学校からの長い付き合いだ。  いつもの流れとは、まず駅前のゲームセンターで格闘ゲームから始まってだらだらと遊び、飽きたら今や常連になったクレープ屋さんで一息付く。甘党の陸はカスタード生クリームの生クリーム四倍。正直馬鹿だろうこいつ。  最後の方にはいつも胸やけに苦しんでいる。  それでも注文するのは毎日毎日激しく運動していると甘い物を食べたくなるんだとか。  俺はそんな事もないのでその時の気分で選択。  そしてその後はカラオケに行ったり、ステーションモールを物色したりという一般的な男子高校生の放課後だ。  特に用事が無い俺は陸の誘いを快く受け入れ、二人で下駄箱へ向かった。 「ところで真悟はさ、うちのクラスで一番は誰だと思うよ」 「また女子の格付けか?毎年四月になったらその話をするよな。俺は陸みたいな肉食系男子じゃないからあんまし気にしてなかったよ」
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