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子供の頃、美加と結婚の約束をした……
子供の約束である。
自分自身は愛の無い、数だけの女性遍歴を積み重ねてきた。
美加はいつの間にか、自分の知らない街で知らない男と結婚していた。
そして、二人は再び、巡り逢った……
辰也は美加に再び出逢い、美加への深まる想いに幸せを感じていた。
それは今までに味わった事の無い幸福感だった。
『愛』が必ずしも成就する物では無い事は、今までに数々の愛に応えられなかった辰也には、逆説的に理解している事だった。
自分が美加にとって、相応しい男なのかはわからない。
再び出逢ったのが運命なら、愛の行方は運命に任せて、自分は美加を見守ろう。
そう辰也は答えを出して、自分の中で取り決めを決めた。
自分からは美加を口説かない。
美加の誘いには乗らない。
美加に相応しい男が現れたら諦める。
以上、三点が辰也の取り決めであった。
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