4/11
前へ
/36ページ
次へ
(……こんなゲスと比べんじゃねえよ!) 辰也はぶち切れ寸前だった。 少なくとも自分は美加にとって、彼氏候補の一番手な筈である。 その自分に代わる候補として、美加の連れて来た男が酒井のような男であることは、辰也にとっては我慢の限度を超えていた。 酒井の趣味もルックスも話題も気に入らない。 なのに美加はと言えば、ウットリしたようにそれを聞いている。 全てが気に入らなかった。 そして辰也は、自分の中の可笑しな感覚に気が付いた。 悔しくて、腹が立つ。 胃酸の逆流と共に込み上げる怒り…… その原因と対象は 何故か 目の前の美加の笑顔だった。 (………これが、ジェラシー!?) 辰也にとっては初めての感情だった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加