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(……こんなゲスと比べんじゃねえよ!)
辰也はぶち切れ寸前だった。
少なくとも自分は美加にとって、彼氏候補の一番手な筈である。
その自分に代わる候補として、美加の連れて来た男が酒井のような男であることは、辰也にとっては我慢の限度を超えていた。
酒井の趣味もルックスも話題も気に入らない。
なのに美加はと言えば、ウットリしたようにそれを聞いている。
全てが気に入らなかった。
そして辰也は、自分の中の可笑しな感覚に気が付いた。
悔しくて、腹が立つ。
胃酸の逆流と共に込み上げる怒り……
その原因と対象は
何故か
目の前の美加の笑顔だった。
(………これが、ジェラシー!?)
辰也にとっては初めての感情だった。
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