2/11
前へ
/36ページ
次へ
 P.m.8:20  カラン…… 「ただいまーーっ!」 元気な声が店内に響き 『cafe BILLY』のドアベルの音を打ち消した。 美加である。 「辰也、今日は会社の人連れて来たから、私は客な……あっ!ラッキーーぃ。テーブル空いてるじゃん」 美加の後から男が三人、店に入って来る。 テーブル席に陣取った美加達の影響で、店内の雰囲気がガラリと変わった。 「うるさいなぁー」 眉をしかめた桃華が一人言のように呟いた。 四人とも既に酔っていて、かなり騒々しい。 ブルースの流れていた店内の雰囲気が、ぶち壊しだった。 「辰也、生四つ!この人は課長の酒井さん」 美加がテーブル席から大声で辰也に話し掛ける。 酒井と紹介された男は、一人だけスーツ姿で、後の二人は美加と同じくラフな私服姿だった。 「桃華。いったん撤収するよ」 マリは、不機嫌な様子で美加を見つめる桃華に耳打ちすると、強引に桃華の腕を引くようにして二人は居間へと消えた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加