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「……ったくもう……なにやってんだよ」
イラついた様子の桃華の声。
居間へと撤退したマリと桃華は、居間へと続くドアの入り口に掛けられたカーテンの隙間から、店内を盗み見ていた。
カウンター内に居る辰也は、後ろ姿しか見えないのだが、美加の居るテーブル席は丸見えである。
「ちっ…… まいっちゃったなぁー」
舌打ちと共にマリが言った。
「ゴメン、マリちゃん。ウチのママ、うるさくて恥ずかしいよね………ママ、酔っ払っちゃってるよ……」
酔っ払って大騒ぎの美加を、呆れたように嘆いた。
「うんん………お酒飲んでるんだから、酔っ払うのは良いんだけど……桃華は、あのスーツの人どう思う?」
「どう思うって?」
マリにしては神妙な響きの声に、桃華が訝しげに返事を返した。
「パッと見で、好き?嫌い?」
「えっ!?……まあまあイケメンだけど ……
わからないよ。オッサンに興味ないし……」
「そう言う意味じゃないよ。
桃華のママ、多分あのスーツの人に口説かれているよ」
「エエッ!!」
桃華が絶句する。
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