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これと言った明確な理由があるわけでは無かった。
だが、問題が無いわけでも無い。
以前、桃華に取り憑いていた霊。クジナ。
辰也はクジナを、自分の前世の恋人であると実感しながら送った。
クジナは霊である。
もともとこの世界の存在では無いし、今はこの世界には居ない。
クジナと過ごした時間も、ほんの一時である。
しかし、魂の結び付きは、時間も空間も
すべてを超越していた。
そもそも、霊であるクジナの存在は
『想い』
つまり想念の、実体なき存在であった。
その存在が辰也との出逢いにより、魂として覚醒してしまったのだ。
クジナの魂が、辰也の魂を目覚めさせ
二人の魂は一つになった………
辰也は、自身の魂を二つに引き裂く痛みと共に、クジナを送った。
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