第2章

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 俺は、業者が来る時間帯のことを彼に聞いたのだが、何時ってなんですか?と質問を質問でかえされた。  俺は、自分の腕を使い、彼に時計の短針と長針のことを説明した。  何分たっただろう。俺は、時計も携帯も持っていない。彼に時間のことについて説明をするのにも苦労したが、待つことにも苦労を要する。俺は、彼に時計の説明をしたあと、飲みかけのサイダーを口に含んだ。  空になったペットボトルを俺が空中に投げて遊んでいると、俺達を囲むように、辺り一帯が白いもやに包まれた。  晴れていた景色が一変する情景は、異常だった。  濡れた白いカーテンに包まれるような感覚。肌にまとわりつくような鬱陶しさを感じた。  「なんだ?この霧」 「どれですか?」 「見えてないの?空気中に広がった白いもやもやのことだよ」 「あ。これ霧って言うんですか?あとですね…言い忘れていたんですけど、僕は目の前の物しか見えなくって。周りの物は、よく見えないんです」 「不便だね」  彼は、悲しそうに言った。 「はい」 「うーん…とりあえず、俺が辺りを見回すから。安心してくれ」  どこからか、音がする。  ガラガラ。ガラガラ。ガラガラ。  誰かが何かを引きずっているような、押しているような。そんな感じがした。 「はい。お願いします…あ。そろそろ来ます」 「え?誰が?」 「業者さんですよ」  長いこと彼に時計の説明をしていたせいか、それとも俺の記憶力が悪いのか。俺は、すっかり業者のことを忘れていた。 ガラガラ。ガラガラ。ガラガラ。  どんどん音がこちらに向かって近づいてくる。音の方を見ると誰かが台車を押しながらこちらに向かってくるのがわかった。
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