第2章

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 この道は、車が通れないほどの細い道などではなかった。  台車を押して来るのは霧のせいだろうか。車のライトを使えばいい筈なのに。なぜ、車で来ないんだろう。業者が目の前に来るまでが、遅く感じるのは考え事をしているせいだと思っていた。 「来るの遅くない?音も近づいているし、なんとなくだけど業者みたいな人も近づいてい来てる感じがするのに。錯覚?幻聴?…俺だけ?」  白いもやのせいで顔はよく見えなかった。  俺の視線の先には、ぼんやりとグレーの服を来た誰かが近寄ってくるのが見える。  まるで、その場に蜃気楼が出てきたかのように、その歩く姿はゆらゆらと揺れていた。 「いいえ。僕も音が近づいているのは感じます。業者さんはなぜだかいつも、ここに着くまでが遅いんです」 「ここは砂漠かよ…」 「え?砂漠ってな…」  時計の説明を終えたあとに砂漠の説明をするのは、面倒だった。  俺は、彼が言い終わる前に言った。 「ここってゴミ箱ないよな」 「ゴミ箱ってな…」 「俺が悪かった。後で説明するから今は、勘弁してくれ」  俺は、空になったペットボトルを手に持ったまま、業者が来るのを待った。
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