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俺は、缶とペットボトルを両手に抱えながら言った。
「うん。とりあえず神とかどうでもいいんだけど、この飲み物どうしよう」
自分で神だと言ってしまったが、正直なところ、神としての自覚はない。これは夢だから、何を言っても許される。俺は、軽い気持ちで言っただけだった。
とにかく、この両手に抱えている飲み物をどうにかしたい。
「どうでもいいんですか…神様は、身勝手なんですね…」
「うん。だよなー。俺もそう思うよ。とりあえず、この飲み物どうする?」
「飲み物ですか?僕の扉を開けば…あっ!鍵がない…いや、そんなことはどうだっていいんですよ!あなたは、本当に神様なんですか!?」
怒っている彼を無視して、俺は彼の体に備え付けられている鍵穴を見つめた。
「鍵穴を見つめても、扉は開きませんから。あきらめてください」
彼は、呆れているのか、声に覇気がない。
「開くよ。多分…」
俺は、そう言って腕に抱えていた飲料の入った容器を地面に置き、扉を開けることにした。
「多分ってなんですかーー!?壊れるからやめてください!!…ってあれ…?」
俺達が言葉を発したのは同時だった。
「「開いた…」」
彼は、驚きを体で表現するかのごとく、自分の体から飲料の入った容器を出し始める。
「す、凄いです!凄いですよ神様!!」
彼のその言葉が頭の中でやまびこのように響いた。
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