一つ不埒な悪行三昧を考える

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チープだが腐れ縁というやつだ。 ただ、この場合腐った糞のように先輩に付いて行っているという解釈で正解である。マイスウィートエンジェルだから仕方ない。 そして、目下俺が糞以下、もしくはバクテリアに分解されてメタンガス化する一歩手前まで迫っている問題。 それが旅行費盗難事件である。 時は遡り二週間前になる。 我が部、棚ヶ崎高校ヒーリングトラベル部には金が必要である。 まあ、金が必要なのはどの部にも共通なのだが、うちの部は部費だけでは到底賄えない。 というのも、名前の通り旅行をする部である。日帰りであれ、一泊するのであれ、金はそれなりに必要なのだ。 ただ、どの学校もそうなのだろうが、部費というのは花形の運動部に多く振り当てられている。 うちに当てられた部費は微々たるものだ。ただ、それも仕方ないとは思う。 そもそも活動内容がよくわからん。旅行するってなんなん、それあんたらの娯楽違うの、という訳である。いや、まあ、確かに半分はそうなんですけどね・・・・・・。 その結果、ご察しという事。 ならば仕方なし、と我が部では個々人がアルバイトをして、部活動を運営している。部員は全員で三人。 俺と先輩と、あ と、まあ、一応部長がいる。それで、ゆるゆるやっているというわけである。 さて、今回の問題はその血と汗の結晶が盗まれてしまったという事。 「今のままじゃ、今夏のヨーロッパはもう無理だね・・・・・・」 「まあ、はい、そうですね・・・・・・」 気付いたのは放課後だった。費用を集めたのはその前日。金庫に入れていた筈の約150万円が消えていた。 何故費用を集めた時点で旅行会社に振り込まなかったのか、もしくは、何故部室でそんな大金を保管したのかと言われるとなんとも言えないのだが、大金故に個人で誰かが持つのも消極的だった、というのもある。 ともかく消えたお金は取り返す以外に、方法がない。しかし、学校側に相談するのも憚られた。 というのも、元々この部を申請する時に良い顔をされなかったのが大きい。 理由は、部費配分が少ないのと同じである。学生の本分に合った活動なのか、という事だ。 結果的には部長が無理矢理押し通して、部は発足したが、それ故に立場は難しいのである。 同等の理由で警察に相談するのも論外だ。事を荒立てるのは部の存続に関わる。 というわけで、八方塞がりです。
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