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「臨時予算扱いで部費をくれ」
「はあ?」
次の日、俺は生徒会室に居た。
理由は明白である。お金をせびりに来たのだ。
「頼む! そこを何とか!」
「いや、そこをってまだ何も言ってないけど・・・・・・」
目前に居るは我が棚ヶ崎高校、生徒会長の尾野美富。
容姿端麗、文武両道、巨乳の三拍子揃った徳の高い方である。
頭を下げながら、目線は上にやる。
千鶴子先輩と違い、シャツに描かれているのは立派な稜線。はち切れんとは言わんばかりなのである。実に素晴らしい。
更にその上から、切れ長な目が胡乱げに俺を映している。千鶴子先輩には負けるが、その目線、イイネ!
「とにかく、顔を上げて頂戴。話が見えないわ」
許しを得た俺は顔を上げる。
やはりこの子も美少女である。整った顔立ちに、黒髪がよく映える。チープな表現ではあるが、大和撫子とはこいつみたいなやつのことを言うのではないだろうか。
尾野は他の生徒会役員に一言二言、声を掛けると、俺を目線で促して歩きだした。
向かっているのは、室内の角にある、言うならば応接ブースみたいな所のようだ。そこだけが白いつい立てで四方を囲われている。
中に入ると机を挟んで椅子が一つずつ置いてある。先に入った尾野が奥の椅子に座った。
続いて俺も腰掛ける。すると、尾野は紙とペンを俺の前に置いた。
紙には、学年、クラス、名前、内容、と欄がある。
「話を聞くときの決まりなの。記入してくれるかしら」
「ああ、わかった」
スラスラと簡潔に書いて、尾野に渡す。
尾野はチラっと紙に目を通して、脇に置いた。決まりといえど、どうやらポーズらしい。
「二年C組、二阪恭一君ね。話を聞きましょう」
真剣な表情は真摯にこちらの問題を考えようとしている証なのかね。
尾野が二年生にして生徒会長になっているのは、こういう一生徒の相談に嫌な素振り一つ見せない所があるからだろう。
けど、美人の真剣な表情ってちょっと怖いよね。俺だけかな。ゾクゾクするよね。
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