プロローグ

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今日子は構わず続けた。 「身内だけのささやかなパーティーなんですけど、パーティーで流すVTRも考えなきゃいけないし、頼んでおいたメイクさん、あ、お友達なんですけどね、彼女のお母さんが病気になってしまって、急に田舎に帰ることになったものですから、別のメイクさんを紹介してくれるって言うんで、今日はこれから会う予定になっているんです。 それに、私も昇一さんも、本当に忙しかったものですから、実は、引き出物も、決まっていないんです。 最近じゃほら、好きなものを選んでもらえるギフトブックが主流になっているそうですけど、やっぱり結婚は、一生に一度の記念ですから、心をこめて選んだ物を」 「わかりました」 今日子の向かいで記録を取っていた中年の刑事が、あきらめたように顔を上げ、ペンを置いた。
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