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リサナ自身も、その行いを間違ってはいないと思ったからこそ、実行したのだろう。
禁忌を。
(……ほんの少し、後悔はしていたかもしれないけれど)
後悔しない人生などないのだと、リサナは言っていた。
───だとしたら、わたしは王宮へ行って、確かめなければならない。
この目で視て、触れて、確かめよう。
リサナが遺したモノを。
リサナの想いを。
───だから泣かないで、母様……。
次に目が覚めたときは、しっかりと前を向くわ。
一人でも、堂々と王宮で立っていられるように。
だから……。
愛してる。
これからも、永遠に。
夢の中の情景が、意識が、ゆっくりと無に還る。
眠りの中に支配されながら、リシュはリサナの残像に想いを込めた。
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