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「可愛いと思ってますよ」
「じゃあ好きか」
「――『抱きたい好き』だから、『抱かれたい好き』ではないけどね」
クスクス笑う葉月に俺は首を傾げる。
葉月は繊細で複雑すぎる。
好きか嫌いかを聞いているのに。
「じゃあ抱きたいとせまる俺は嫌い?」
そう尋ねると、んーと右上に視線をずらしながら少し考える。
「取り合えず、けい君の今からの行動次第かな」
「何それ」
「ふふっ」
そう笑うと少し寂しげに下を向いた。
俺はそれ以上何も言えなくなって。
――このまま葉月を押し倒すのは何か違うと思ったんだ。
葉月も俺と同じぐらい好きになって欲しい。
俺に抱かれたいと思うぐらい。
逆に、俺が抱いてほしいと思えるぐらいぐいぐい来てくれても良かったんだけど。
「帰る」
「え?」
「夜這いは止めて今度からストレートに口説くことにする!」
そう言うと俺は窓からひらりと抜け出して、
あまりの動揺っぷりに窓から落ちた。
―――1階の屋根に落ちて無傷で済んだけど。
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