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「……そうですね。けい君がいるなら辞めません。無理してでも在籍します」
むっ
「葉月と離れたくない俺を脅す気だな」
「いえ。今のはけい君の方が俺を脅してましたよね?」
にらみ合いながらも、美味しいハンバーグの手は止まらない。
昔から料理も美味しかったんだ。葉月は。
「家は継がないけど、葉月も辞めたければ辞めればいい!」
ニンジンのグロッセを箸で差して食べながら、完食した。
葉月はニンジンが嫌いだから最初から皿には入ってない。
「それは……俺が居なくても大丈夫って意味ですか?」
不安を滲ませて葉月はそう言う。
馬鹿か。そんなに不安げにしてんじゃねーよ。
――俺の気持ちは10年前から変わってないんだから。
「こ、こ、恋人になりゃあ良いんじゃねーかな?とか、思ったり」
段々と語尾を小さくしながら、言った。
ちょっと声が裏返ったけど言った。
「いい加減恋人に、なってよ。葉月」
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