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「お待たせしましたっ」
最後の客が帰り、スタッフが清掃を始めるとすぐに葉月は駆け寄ってくる。
「清掃とかスタッフの練習はいいのか?」
内心では飛び付きたいぐらい嬉しかったんだけど、敢えてぶっきらぼうに言ってみる。
どうだ。
だが葉月はクスクス笑う。
「君の進路はこの店のみんなの命運がかかってるので」
そう言われるとムッとしてしまう。
「なんだよ! 葉月はみんなに言われただけかよっ」
心配してくれてるのかって嬉しかったのに。
ふいっとそっぽを向くと、くるりと葉月は俺の視界まで回り込んで俺の顔を覗き込む。
「抱き締めたいぐらい可愛いです。けい君」
「~~! 男に可愛いとか言うなっ」
「けい君だって俺を女の子みたいとか綺麗とか言うじゃないですか」
「俺はいいんだよ」
何が良いのか分からないけど、俺のそんな発言にもやっぱり葉月は目を細めて笑う。
「どこで食べます?」
そう言ってくれたけど、俺は数メートル先のスーパーを指差す。
「手作りが食べたい」
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