299人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
はああ。
葉月は諦めたようにため息をつくと、さっさとフライパンを持って、コンロの方へ歩いて行く。
フライパンを熱しながらチラリと俺を見る目は、諭すような年上の目だ。
「中1の時に夜這いに来た時は、まだ可愛かったのに」
「可愛くねーよ。お前がベットから蹴飛ばすから床に落ちてむち打ちした!」
「中2の夜這いでは、ロープなんてもって来ましたよね」
「葉月は催涙スプレーで全然触らせもしなかった」
「――中3で初めて組み敷かれましたよね」
「……葉月が抵抗しなかったからだ」
ジューっと肉がフライパンに落とされて、音と共に牛肉の甘い肉汁が薫りを放つ。
涎が出るぐらい良い薫り。
……じゃなくて。
「ヤろうとしたら最後までできたのに、けい君、震えて怖じ気ついてさ」
クスクス笑う葉月に腹が立って、お尻をバシンと足で蹴る。
すると堪えきれずにプハッと笑い出した。
「葉月が悪い! 好きじゃなきゃ体は許したらいけないのに!」
最初のコメントを投稿しよう!