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「んじゃ、二人とも支援科に編入ってことでいいんだな?」
10月。学園の枝葉も紅色に染まっている頃である。
カオス学園理事長である始実三星は、二人の少女と、件のカオス学園理事長室にて対峙していた。
生粋のカオス学園出身者である自分は経験したことはないが、目の前の少女達はこの学園の途中編入者。学園の施設や制度などについて軽い説明を行っているところであった。
その説明もひと段落つき。
「よし、あとはいる内に慣れてくるだろ。んじゃもう行っていいぞ」
「はい!」
「…は、はい」
元気よく答えた少女と、明らかに人見知り全開で答えた少女。
元気よく答えた少女の名前は明日葉心実(あすは ここみ)。能力は【引き込む闇と幻の奔流】。手紙を送った相手の事を自分の作り出した世界に霊体として引き込む能力である。非常に強力であるが、相互の許可を以って発動するため、彼女単体ではどうあっても能力を発動できない。
そして、人見知りしている少女の名前は雲陰叶(くもかげ かな)。
能力は【羞恥天響】。それが下らないものであろうと、大事なことであろうと相対している人の恥ずかしい秘密を無条件で知ってしまう能力である。
こうしている間にも俺の秘密は向こう側に聞こえてるんだよなぁ、と一人考えてしまう三星。
「それでは、失礼しまっす!」
「……(ぺこり)」
そして退出していこうとする二人を見て三星は。
「あ、ちょっと待ってくれ!」
あることを、思いついてしまったのであった。
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