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「伊藤さん、顔真っ赤。ふふっ。」
お客様が離れたのを待って、楽しそうに小坂さんが言った。
「小坂さんが変な事言うからですっ。」
両手で頬を押さえて、小声で抗議する。
「付き合って無いの?」
「付き合ってません!」
頬を押さえたまま、今度は即答する。
「そうなの?お似合いだし、結構、皆言ってるから。」
「言ってるって…デタラメです。」
全く予想外な話に、心拍数が上がる。
皆言ってるって…噂になってるって事??
そんなの困る~!
「じゃ、今度耳にしたら、否定しとくわね。」
「お願いしますっ。」
お似合いなのに~なんてまだ言っている小坂さんに、念を押すように真っ直ぐ目を見てお願いした。
「西島くん、遅いわね。」
「そうですね…。」
前を向くと、にっしーを待っているお客様と目が合った。
申し訳ないと思い、軽く頭を下げて、にっしーが来ると思われる方を見た。
「お待たせしました!」
タイミング良く、にっしーが姿を現したので驚いた。
受付の前を通る時に、笑顔でこちらを見て軽く手を上げた。
私もホッとして、笑顔で応えた。
「ほらぁ、あれは誤解されて仕方ないわ。」
お客様と話し始めた、にっしーを見ながら小坂さんが言った。
「あれは、にっしーの普通です。」
「言われてみれば、そうかもね。西島くん、愛嬌あるし。」
そう話しているうちに、にっしーはお客様と会議室に向かった。
お客様が席を立った時に、また目が合ったので、軽く頭を下げた。
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