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「ええぇ!千晃とにっしーがぁ!!」 昼休みの時間になり、宇野ちゃんと約束のランチをしていた。 「し~!宇野ちゃん、声大きい!」 「だって。」 ランチタイムだというのに、人の少ないパスタ屋さんは、会社の人もあまりいない、お気に入りのお店。 静かな店内に、宇野ちゃんの声が目立つ。 「私もびっくりだったよぅ。」 小坂さんから聞いた話を、席に着くなり話した。 宇野ちゃんの驚きは、ごもっともだ。 「にっしーなんて、いっつもそんな感じじゃん。」 「私もおんなじ事思ったよ。」 「だよね。」 メニューをパラパラめくりながら、宇野ちゃんが笑う。 ふと、店員さんが注文を聞きたそうにしているのが見えて、急いで決める事にした。 「…以上でよろしいですか?」 「はい。お願いします。」 無事、注文が済んで、また話を戻す。 「千晃は受付で目立つから、みんな誤解したのかもね。」 「ん~?目立ってる?」 「明らかに、受付って人の目に付くじゃ無い?私なんかは、あまり見られる事はないし。」 「なるほど。」 「とにかく、にっしーにも注意しておこ。」 「ん?」 「変な動きはするなと。」 「変な動きってぇ~。ひひっ。」 にっしーには可哀想な気がしたが、一人気合いを入れてる宇野ちゃんが可愛くて、笑ってしまった。 「笑い事じゃ無いよ!私達は知らなかったけど、意外とみんな勘違いしてるかもよ。」 宇野ちゃんが、真面目な顔で見つめてくる。
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