1

6/12
前へ
/169ページ
次へ
会社に到着。 更衣室で受付の制服に着替える。 「よし!完璧!」 鏡でのチェックをして、受付に向かった。 あれ?こんな早くに、もうお客様?? 受付の前に、スーツ姿の方が見えた。 「おはようございます。すみません。お待たせしました。」 小走りで近づいて、声を掛けた。 「あっ!おはようございます。いやいや、客やないんで。慌てさせて、すみません。」 振り返った男性は、耳を赤くして、少しなまりのある話し方で、早口で答えた。 「そうなんですか?」 小さな顔にすべり台のような鼻、サラサラな髪で、スラッとした男性だった。 「すみません…。」 男性は、もう一度謝って、髪をかき上げた。 「いいえ。どのようなご用件ですか?」 客ではないとはいえ、用事があってここにいるのだろうと思い、聞いてみた。 「あっ、関西営業所から本社に異動になった與真司郎といいます。今日から浦田さんの部署で…」 と話している途中に、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。 「おはよー!ごめん。真司郎、お待たせ!」 リーダー…。 背の高いリーダーが、歩いて来るのが見えた。 「おっ、千晃。おはよ。」 「リーダー、おはようございます。」 「今日もちっちゃいな。」 私の頭を、ぽんぽんしながら笑う。 「ちょっ。」 髪を直しながら、抗議しようとしたら、リーダーは與さんと話し始めていた。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加